
英語力を測る資格の中でも、TOEIC(トーイック)は就職活動や転職、昇進、海外赴任など、幅広い場面で活用される定番の試験です。特に「Listening & Reading(L&R)」は多くの企業でスコア提出を求められることがあり、英語力の指標として高い信頼を得ています。一方で、近年は「Speaking & Writing(S&W)」の試験も注目されつつあり、実践的な英語運用能力の証明手段として受験する人が増えています。
本記事では、TOEIC L&RおよびS&Wの試験内容やスコアごとの難易度、他の英語資格との比較、目的別の目標スコア、そして学習のポイントまでを網羅的に解説します。TOEICの受験を検討している方はもちろん、スコアアップを目指す方にも役立つ内容となっています。
TOEICの概要
当サイト独自の見解です
項目名 | 内容 |
---|---|
資格種別 | 民間資格 |
ジャンル | 語学(英語) |
資格区分 | スコア型(合否なし) |
受験資格 | 誰でも受験可能 |
試験日程 | 年10回程度(L&R)/毎月実施(S&W)※公式サイトにて要確認 |
試験方法 | L&R:マークシート方式/S&W:コンピュータによる解答(CBT方式) |
免除科目 | なし |
試験場所 | 全国の指定会場(都道府県ごとに複数) |
受験料 | L&R:7,810円(税込)/S&W:10,450円(税込)※時期により変動あり |
登録・更新 | 登録・更新制度なし(スコアの有効期限は一般的に2年が目安) |
問い合わせ先 | 一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC) https://www.iibc-global.org/index.html |
TOEICとは?試験の基本情報
主な2つの試験:L&R(リスニング・リーディング)/S&W(スピーキング・ライティング)
TOEICは主に2種類の試験に分かれています。
- TOEIC L&R(Listening & Reading):聞く・読むの理解力を評価するスコア型試験。
- TOEIC S&W(Speaking & Writing):話す・書くの表現力を測る試験で、アウトプット力が求められます。
どちらもスコアで評価され、合否はありません。
受験者数・活用シーン(企業・大学など)
TOEICは日本国内だけでも年間約200万人が受験する人気資格です。多くの企業が採用・昇進時にスコア提出を求めており、大学でも単位認定や入試の加点対象として活用されることがあります。特にL&Rは「読む・聞く」の基礎力を測るため、幅広い業種・年齢層に浸透しています。
スコアの有効期間と特徴
TOEICには公式なスコア有効期限は設けられていませんが、企業や学校では「2年以内のスコア」を求められるのが一般的です。スコアは10~990点で表示され、一定の点数以上を目指して何度も受験する人も多く、実力を数値で把握できるのが特徴です。
TOEIC L&Rの難易度とスコアレベル感
スコア帯 | 難易度 | 英語力の目安 | 活用例 |
---|---|---|---|
~395点 | ★☆☆☆☆ | 基礎レベル | 一般大学の基準未満 |
~495点 | ★★☆☆☆ | 初級~中級 | 新卒の就活時に最低限 |
~695点 | ★★★☆☆ | 中級 | 一部企業の昇進基準 |
~845点 | ★★★★☆ | 上級 | 海外業務にも対応可能 |
900点~ | ★★★★★ | 非常に高度 | 大手企業・外資系 |
リスニングとリーディングの難しさの違い
TOEIC L&Rでは、リスニングの方が比較的スコアを伸ばしやすいと言われています。理由は、日々の英語音声への接触(映画、音声教材、シャドーイングなど)によって耳が慣れやすく、反復学習の効果が出やすいためです。
一方で、リーディングは文法力・語彙力・速読力が求められるため、伸ばすには時間がかかる傾向があります。特にPart 7(長文読解)は文章量が多く、時間配分の難しさが受験者の大きな壁となります。最後まで解ききれないケースも多く、戦略的な読み進め方が必要です。
TOEIC S&Wの難易度と特徴
スピーキング(Speaking)
TOEICスピーキングテストは全11問で構成され、約20分間で完了します。内容は音読、写真描写、設問への応答、意見表明など多岐にわたります。
難易度としては、瞬時の応答力・発音・イントネーション・語彙の自然さなど、実践的な会話力が評価されます。英会話にある程度慣れている人でも、限られた時間で明確な英語を話すことが求められるため、高得点を取るのは意外と難しい試験です。
ライティング(Writing)
TOEICライティングテストは全8問で、約60分の試験時間が設けられています。内容は写真描写・Eメール作成・意見陳述の3種類で構成され、実務的な文章力が試されます。
評価では、文法の正確さ、文章構成、論理性、語彙の豊かさなどが重視されます。そのため、L&Rで高得点を取っていても、実際に自分の言葉で表現するのが難しいと感じる受験者も多く、苦戦しやすいパートです。
TOEICと他の英語資格との難易度比較
資格 | 難易度感 | 特徴 |
---|---|---|
TOEIC L&R | 中〜上級 | 日本での評価が高い、スピーキング力は問われない |
TOEIC S&W | 上級 | アウトプット重視、企業評価が高まりつつある |
英検準1級 | 上級 | 4技能すべて必要、日本の文脈に強い |
IELTS | 上級 | 留学・移住向け、時間管理が難しい |
TOEFL iBT | 最上級 | アカデミック重視、大学入試・留学に必須 |
社会人・学生別のおすすめ難易度・目標スコア
TOEICはスコアによって英語力の目安が明確にわかるため、自分の立場や目標に応じたスコアを設定することが重要です。
大学生であれば、まずは600点以上を目標にするのが一般的です。これは多くの企業で就職活動時のエントリー条件として設定されているラインであり、履歴書にも記載できる目安となります。
新卒・若手社会人には、730点〜860点が評価対象になります。特に外資系企業やグローバル展開を進めている日系企業では、730点以上が昇進・配属の判断材料となることが多いです。
中堅ビジネスパーソンの場合、860点以上を持っていれば、社内での昇進や海外赴任の候補者として有利になります。業務で英語を使う機会が多いポジションでは、信頼できる英語力の証明になります。
さらに、グローバル企業を志望する場合や英語を使った実務を強く希望する場合は、900点以上+S&Wのスコア提出で他の候補者と差をつけることが可能です。4技能すべてを評価されるため、採用時にも好印象を与えるでしょう。
職種別
営業職の場合、海外取引先とのメールや電話対応、出張が発生するケースも多く、730点〜860点以上が望まれます。特に外資系や貿易関連の営業では、英語でのプレゼン能力や交渉力も求められるため、S&Wのスコアも重視されることがあります。
技術職(エンジニア、研究職など)では、英語のマニュアルや論文、海外のカンファレンス情報を読み解く力が重要になるため、600点〜730点以上が1つの目安となります。ただし、グローバル展開している企業や外資系企業では、800点以上が求められることもあります。
事務職・管理部門では、英文メールのやり取りや書類処理のために600点〜730点程度の英語力が求められることが多いです。海外支店との連携がある場合や、役員のサポート業務に関わる場合は、さらに高いスコアが評価対象となります。
TOEICの難易度を乗り越える学習のコツ
TOEICは継続的なトレーニングによってスコアアップが見込める試験です。特にL&R(リスニング&リーディング)とS&W(スピーキング&ライティング)では、それぞれ異なる学習アプローチが効果的です。
L&R対策では、まず「シャドーイング」が効果的です。英文音声を聞いたあとにすぐ自分の声で真似することで、リスニング力と発音の精度が同時に鍛えられます。また、毎日のリスニング習慣(ポッドキャスト・TOEIC教材音源など)を取り入れ、耳を英語に慣れさせることも重要です。加えて、語彙力の強化がスコアアップの鍵。頻出単語や熟語を集中的に覚えることで、Part5〜7の読解力も底上げされます。
S&W対策には、オンライン英会話の活用がおすすめです。実際に話す機会を増やすことで、瞬時の発話力や構成力が磨かれます。英作文テンプレートを暗記しておけば、Writingセクションでも論理的に答えやすくなります。また、自分のスピーキングを録音して自己添削することも、弱点発見に効果的です。
さらに、TOEICに慣れるためには模試の活用が必須。公式問題集を使ったタイムトライアルや復習を通じて、時間配分と問題傾向に慣れておきましょう。毎月1回程度の定期受験を続けることも、学習のモチベーション維持と成長確認に役立ちます。
スコア帯別の対策
スコア帯 | レベル感 | 主な課題 | 対策のポイント |
---|---|---|---|
~600点 | 初級レベル | 語彙不足、設問形式に慣れていない | 基礎単語・文法の習得/Part1〜3の音読/公式問題集で形式に慣れる |
600~730点 | 中級レベル | 読解力・語彙力の不足、スピード感 | 語彙強化/Part5の文法対策/長文速読トレーニング |
730~860点 | 中上級レベル | リスニングの細部理解、読解の精度 | シャドーイング徹底/Part6〜7の時間配分/精読と要約練習 |
860~900点以上 | 上級~ハイスコア | 細かいミス、語彙・構文の幅の狭さ | パラフレーズ理解/設問の意図読み/問題演習+復習をセットで実施 |
- 600点未満は「英語基礎力の定着」が第一。中学レベルの文法と単語帳で反復練習を。
- 600〜730点では「TOEIC形式に特化した訓練」を開始。Part5・6のパターン学習が効果的。
- 730〜860点は「解答スピード」と「英文処理の精度」を上げるフェーズ。長文読解力が鍵。
- 900点以上を狙うなら、「出題傾向の分析」「設問の狙い」「文脈理解力」の強化を重視し、復習を学習の中心に。
TOEICのお勧めの参考書を5つ紹介
【別冊模試・CD-ROM・音声DL付】はじめて受けるTOEIC(R) L&Rテスト 全パート完全攻略

TOEIC初心者に向けた、全パート対応の総合対策本です。TOEICの試験構成や解き方のコツを丁寧に解説しながら、実践問題も豊富に収録。初めてTOEICを受ける方がつまずきやすいポイント(時間配分・設問形式など)をわかりやすくフォローしてくれます。
TOEIC L & R TEST 出る単特急 金のフレーズ (TOEIC TEST 特急シリーズ)

TOEIC対策における定番の単語帳で、特に600点以上を目指す学習者に支持されています。著者のTEX加藤氏が3年かけて厳選した1,000語が収録されており、TOEICの出題傾向に基づいた効率的な学習が可能です。
公式TOEIC Listening & Reading 問題集 11

国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)より発売された、TOEIC L&Rテスト対策の最新公式教材です。本書は、TOEICテスト開発機関であるETSが実際の試験と同様のプロセスで制作した問題を収録しており、本番さながらの模擬試験を体験できます。
TOEIC(R)テスト 新形式精選模試 リスニング(CD-ROM1枚つき)

TOEIC L&Rテストのリスニングセクションに特化した実践的な模試集です。本書は、TOEICのスコアアップを目指す中上級者に向けて、最新の出題傾向を反映した問題を提供しています。
改訂版TOEIC(R)スピーキングテスト究極のゼミ [音声DL付] 究極のゼミシリーズ

TOEICスピーキングテストのスコアアップと実践的な会話力の習得を目指す方に向けた総合対策書です。著者の冨田三穂氏は、日韓両国で200点満点を連発するスピーキング指導の専門家であり、そのノウハウを本書に凝縮しています。
TOEICの難易度に関するよくある質問(FAQ)
まとめ:TOEICで英語力を正しく証明するために
TOEICの難易度は、スコア帯や試験の種類(L&R/S&W)によって大きく異なります。リスニング・リーディングだけでなく、スピーキング・ライティングも組み合わせることで、より実践的な英語力を証明できます。自身の目的に応じた目標スコアを定め、適切な対策を計画的に進めることが、スコアアップへの近道です。