
観光業界や接客業で英語力を活かしたいと考えている方に注目されている「観光英語検定」。
空港やホテル、観光案内などの実務で役立つ英語表現を身につけられる資格として、学生から社会人まで幅広い層が受験しています。とはいえ、英検やTOEICとは異なり、どれくらい難しいのか、どのくらい勉強すれば合格できるのか気になる方も多いはず。
この記事では、観光英語検定の難易度や合格率、勉強時間の目安など、受験前に知っておきたい情報をわかりやすく解説します。
観光英語検定の概要
当サイト独自の見解です
資格種別 | 民間資格 |
---|---|
ジャンル | 英語・観光・接客 |
資格区分 | 1級・2級・3級(級別制) |
受験資格 | 誰でも受験可能(年齢・学歴・国籍制限なし) |
試験日程 | 年2回(例:6月・11月頃) |
試験方法 | 筆記試験+リスニング(※1級は記述問題あり) |
免除科目 | 特になし |
試験場所 | 全国主要都市の会場(例:東京・大阪・名古屋など) |
受験料 | 1級:6,500円、2級:5,500円、3級:4,500円(※変更の可能性あり) |
登録・更新 | 登録・更新制度なし(合格すれば永久資格) |
問い合わせ先 | 日本観光英語検定協会(https://www.kankoeiken.gr.jp) |
観光英語検定とは?
観光英語検定(正式名称:実用英語技能検定・観光英語検定)は、観光や接客の現場で使われる英語表現を中心に出題される民間資格です。主催は「日本観光英語検定協会」で、旅行・ホテル・航空・通訳ガイドといった分野で英語を使う職業を目指す人に向けた検定として位置づけられています。
試験は1級・2級・3級の3段階に分かれており、英語力だけでなく、観光に関する実務知識やマナー、文化理解なども問われます。例えば、空港での案内、ホテルでの接客、観光案内所での対応といったシーンでの会話表現や専門用語が中心です。
試験は年に2回、全国の主要都市で実施され、筆記試験とリスニングを通じて実践的な英語力を評価します。観光分野に特化した英語検定として、英検やTOEICとは異なる実務寄りの内容が特徴であり、観光業界への就職活動やスキルアップに役立つ資格として注目されています。
観光英語検定の試験内容(各級の出題形式と特徴)
観光英語検定の試験は、筆記試験とリスニング試験で構成されています。級によって出題の難易度や形式が異なり、上位級ほど実践的で応用力が求められます。
3級の試験内容
- 対象レベル
-
英検3級程度、観光英語の基礎
- 出題形式
-
- 語彙・文法問題(観光に関する基本単語や表現)
- 会話文の空欄補充
- リスニング(空港・ホテルなどの簡単なやりとり)
- 特徴
-
観光英語に初めて触れる人向け。中学生レベルの英語+観光用語の理解が必要。
2級の試験内容
- 対象レベル
-
英検2級~準1級相当、より実践的な内容
- 出題形式
-
- 会話文・長文読解(観光業務の場面を想定)
- 問題解決型のやりとり(トラブル対応など)
- リスニング(ナチュラルスピードでの会話理解)
- 特徴
-
現場で実際に役立つ英語表現や対応力が求められる。専門用語や接客マナーの理解も必要。
1級の試験内容
- 対象レベル
-
英検準1級~1級、TOEIC800点以上が目安
- 出題形式
-
- 長文読解・英作文(観光に関する記事やエッセイ)
- 論理的思考や意見を問う問題
- 実務対応(クレーム処理や通訳風の応答など)
- 特徴
-
観光現場で即戦力となるハイレベルな英語力+判断力が問われる。記述式問題も含む。
観光英語検定の難易度は?
観光英語検定は、観光や接客の現場で求められる英語力を測るための資格であり、英語の基礎力に加えて観光業務に特化した実践的な表現や対応力が求められます。級は3級・2級・1級の3段階に分かれており、それぞれの難易度には明確な違いがあります。ここでは各級のレベル感や必要とされる英語力について詳しく見ていきましょう。
3級の難易度
英検3級レベル、英語初級者でも合格可能
観光英語検定3級は、初めて観光英語に触れる人や英語にまだ自信のない人向けの入門レベルです。英検でいえば3級相当の難易度とされており、中学卒業程度の英語力があれば十分対応可能です。出題内容も、ホテルの予約やチェックイン、観光地での簡単な案内といった基礎的なシチュエーションが中心で、観光英語の基本単語や表現を理解していれば問題なく解ける内容です。
リスニング問題も比較的ゆっくりとした音声で出題され、会話の流れもシンプルです。英語に苦手意識がある方でも、しっかり対策すれば合格しやすい級といえるでしょう。
2級の難易度
英検2級~準1級相当、実践的な英語力が必要
2級になると、より実務寄りの内容が増え、英語力も中級レベル以上が求められます。英検でいえば2級から準1級、TOEICで言えば600〜750点程度のレベル感です。実際の観光現場でのトラブル対応や説明業務など、複雑な会話のやりとりが出題されます。
問題形式としては、空欄補充や長文読解、観光に関する状況判断型の設問などがあり、ある程度の読解力やボキャブラリーが必要です。また、リスニングもスピードが上がり、複数人による会話や要点を聞き取る力が求められます。
観光に関する知識や、日本文化に関する基礎的な理解も問われることがあるため、単なる英語力だけではなく「観光業界で働く準備」としての幅広い対応力が必要です。
1級の難易度
英検準1級~1級、TOEIC800点以上が目安
観光英語検定1級は、非常にハイレベルな試験であり、観光業界で実務経験のある人や、英語にかなりの自信がある人向けです。英検でいえば準1級〜1級、TOEICであれば800点以上が一つの目安とされています。
試験内容には、長文読解や記述式の問題が含まれ、英作文や意見を問う問題、さらには複雑なトラブルシーンでの対応を英語で考えるような出題もあります。加えて、観光・接客英語に関する専門用語や業界知識、日本文化・マナーに関する知識も必要とされます。
また、1級は単に英語を聞き取って答えるだけでなく、「適切な表現でどう伝えるか」といった応用的な力や論理的思考力も求められるため、難易度は非常に高いといえます。独学での合格は難しく、対策講座や教材の活用が強く推奨されます。
難易度のまとめ
級 | 難易度の目安 | 必要な英語力 | 対象者 |
---|---|---|---|
3級 | 英検3級相当 | 中学卒業レベル | 英語初心者・学生・観光英語入門者 |
2級 | 英検2級〜準1級相当 | 高校卒業〜大学一般英語レベル | 就職活動中の学生・観光業界志望者 |
1級 | 英検準1級〜1級相当 | 上級英語+観光業界実務知識 | 英語上級者・観光業界の実務経験者 |
受験前には、自分の現在の英語力や将来のキャリア目標に合わせて、無理のない級を選ぶことが大切です。初めての方は3級から挑戦し、段階的にステップアップするのがおすすめです。
観光英語検定の合格率は?
第45回(2022年10月30日実施)
級 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
1級 | 13人 | 2人 | 15.4% |
2級 | 687人 | 374人 | 54.4% |
3級 | 1,158人 | 521人 | 45.0% |
この回では、3級・2級は比較的高い合格率となっており、受験者の多くが合格していることがわかります。一方、1級は受験者自体が非常に少なく、難易度の高さもあって合格率は15%程度と狭き門です。
第43回(2020年10月25日実施)
級 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
1級 | 61人 | 3人 | 4.9% |
2級 | 1,384人 | 767人 | 55.4% |
3級 | 1,899人 | 998人 | 52.6% |
コロナ禍の中での実施ながら、2級と3級の合格率は50%以上を維持しており、安定した難易度であることがうかがえます。ただし、1級はこの年も合格率5%未満と、極めて高難度の結果となっています。
3級の合格率:70〜80%程度
観光英語検定3級は入門レベルの試験とされており、合格率も比較的高めです。過去の例や関係者の発言などから、おおよそ70〜80%前後の受験者が合格していると考えられています。
出題内容も基礎的な観光英語や日常英会話が中心で、難解な単語や構文は少なく、リスニングもスピードが遅めに設定されています。中学英語に慣れていれば十分に対応可能で、しっかり対策すれば高い確率で合格が期待できます。英語に自信がない人でも、初めての英語資格としてチャレンジしやすい級です。
2級の合格率:40〜60%程度
2級になると難易度が一気に上がるため、合格率はやや下がります。目安としては40〜60%程度とされており、3級とは異なり、しっかりとした英語力と観光知識の両方が必要になります。
実務を意識した場面設定や、少し複雑な英会話、状況判断問題などが含まれるため、暗記だけでは対応しきれません。また、リスニングもネイティブの自然なスピードに近づくため、耳慣れしていないと対応が難しくなります。とはいえ、英検2級レベルの英語力があれば十分に合格を狙える範囲です。
1級の合格率:5〜20%程度
最上位の1級は、非常に高い実務力と英語力が求められるため、合格率も低くなります。過去の実績や試験傾向から見ると、5〜20%程度が一つの目安とされています。
試験内容には記述式の問題も多く含まれ、論理的な文章構成力や専門用語の運用能力が必要になります。また、観光業界特有の対応(クレーム処理、緊急時の案内、文化説明など)を英語で正確かつ丁寧に伝える力も問われます。独学での合格は難易度が高く、教材・講座・実務経験などを活かした学習がカギとなります。
合格率から見える“適切な級の選び方”
合格率は、その級の対象者や出題レベルを知る手がかりになります。初めて観光英語に触れる方や英語に不安がある方は3級から挑戦し、段階的にレベルアップを目指すのが最も効果的です。特に2級以上になると、英語だけでなく観光業界の知識や日本文化への理解も必要となるため、自己分析をしっかり行い、自分に合った級を選ぶことが重要です。
勉強時間とおすすめの学習法
3級合格に必要な勉強時間:30〜50時間
観光英語検定3級は基礎的な英語力と観光用語の理解が中心となるため、比較的短期間の学習でも対応可能です。中学レベルの英語が身についていれば、約30〜50時間程度の対策で合格圏に届くと考えられます。
- 基本的な単語と表現(ホテル・空港・観光地の英語)を覚える
- 短い会話文を読み、ロールプレイで反復練習する
- 過去問や模擬問題で形式に慣れる
- 音読とシャドーイングで発音とリスニング力を強化する
2級合格に必要な勉強時間:100〜150時間
2級では、より実務的な内容が求められ、トラブル対応や説明型の会話が中心になります。英検2級レベルの英語力を前提に、観光現場での応答や文化的説明などにも対応できるようなトレーニングが必要です。
- 過去問題集や公式テキストを使って問題形式に慣れる
- 各シチュエーション(空港案内、ホテル対応など)の定型文を暗記
- 英語ニュースやYouTubeで観光関連のリスニングに慣れる
- 日本の観光地・文化・マナーに関する基本知識も日本語+英語で学習
- ロールプレイ形式で「相手に伝える」練習を重視
1級合格に必要な勉強時間:200〜300時間以上
観光英語検定1級は非常に高難度で、長文読解、記述問題、クレーム対応、文化説明など、広範なスキルが求められます。TOEIC800点以上、英検準1級〜1級レベルの英語力に加え、観光実務の経験があれば有利です。
- 記述問題や英作文の練習を通じて論理的な表現力を磨く
- 難解な観光用語や業界特有のフレーズを覚える
- 長文読解力の強化(観光業界ニュース・白書・英語記事などの精読)
- 日本文化・歴史・マナーなどを英語で説明できるよう準備
- 英会話教室やオンライン英会話で実践練習を行う
観光英語検定は就職に役立つ?
観光英語検定は、ホテル、旅行会社、空港、観光案内所など、観光業や接客業を目指す人にとって実践的な英語力を証明できる資格です。観光現場でよく使われるフレーズや対応方法を習得することで、就職活動やキャリアアップにおいてアピール材料となります。
観光業界では評価されやすい
旅行会社やホテル業界では、英語での接客が日常的に求められます。そのため、TOEICや英検よりも、**「観光現場で実際に使える英語表現が身についているかどうか」**が重視されることもあります。観光英語検定は、こうした現場対応力を評価する資格として、実務に直結する点が強みです。
- ホテル業界:チェックイン対応、観光案内の場面で英語力が活かせる
- 空港・鉄道:外国人旅行者の問い合わせ対応や誘導時に役立つ
- 観光ガイド・案内所:文化説明や道案内など、英語での説明力が求められる
英語の応対力を具体的に証明できる
TOEICや英検は、どちらかといえば「総合的な英語力(読み書き含む)」を測る試験ですが、観光英語検定は**「実際の接客シーンで使える英語力」に特化**しているのが特徴です。
たとえば、
- 「道に迷った外国人への対応」
- 「観光スポットの英語での説明」
- 「予約トラブルへの英語応対」
といった場面に対応できる力を証明できるため、面接時に具体的なスキルとして説明しやすく、即戦力アピールにつながります。
他の英語資格との併用で効果アップ
観光英語検定単体でも評価されますが、TOEICや英検との併用でより強力なアピールになります。たとえば、TOEICで点数を示しつつ、「観光英語検定で実務英語にも対応できます」と補足することで、より具体的なスキル証明が可能です。
観光英語検定は、英語を使った仕事を希望する人にとって「ただの語学資格」ではなく、「実践力の証明」として有効に働きます。特に、ホテル・旅行・航空などの業界を志望する学生や転職希望者にとって、履歴書に書ける“即戦力型の英語資格”として活用価値が高いと言えるでしょう。
受験前に知っておきたいQ&A
まとめ
観光英語検定は、観光業や接客業で活躍したい人にとって、実践的な英語力を証明できる有用な資格です。難易度は級ごとに大きく異なり、3級は初心者向け、1級は上級者向けとレベルが明確に分かれています。合格率や勉強時間を把握し、自分に合った級から無理なくステップアップすることが大切です。
また、この検定はTOEICや英検とは異なり、観光シーンで即使える英語スキルが問われるため、履歴書や面接で“即戦力”としてアピールできる点も魅力です。観光や接客の現場で英語を活かしたい方は、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。