
理系学生や技術職のキャリアアップを目指す方の間で注目されている「技術英語能力検定」。
英語と技術の両方のスキルが求められる試験として、専門性の高い評価が得られる一方、「どれくらい難しいの?」「どの級から受けるべき?」と悩む人も少なくありません。
本記事では、1級〜3級それぞれの難易度をわかりやすく解説し、自分のレベルに合ったおすすめの受験級もご提案します。
初めて受験を検討している方も、再挑戦を考えている方も、ぜひ参考にしてください。
技術英語能力検定の概要
当サイト独自の見解です
資格種別 | 民間資格 |
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ジャンル | 英語/技術系スキル |
資格区分 | 技術英語能力検定(3級・2級・1級・プロフェッショナル) |
受験資格 | 制限なし(誰でも受験可能) |
試験日程 | 年2~3回実施 ※回によって変動あり |
試験方法 | 筆記試験(PBT/CBT/会場受験) |
合格基準 | 正答率60%以上(プロフェッショナルは75%以上+全設問で50%以上が必要) |
免除科目 | なし |
試験場所 | 全国主要都市(札幌、東京、名古屋、大阪、福岡など) |
受験料 | 3級:3,600円/2級:6,900円/1級:9,000円/プロ:17,000円 |
登録・更新 | 特に登録・更新制度はなし(合格証発行のみ) |
問い合わせ先 | 日本工業英語協会(JSTC) |
技術英語能力検定の試験内容
級 | 主な出題形式 | 内容のポイント |
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3級 | 多肢選択式(マークシート) | ・技術系英単語の意味理解・英文読解・図や表と連動した読解問題など |
2級 | 多肢選択+記述(要約) | ・中級レベルの技術文書の読解・簡単な技術的内容の要約や説明(英文) |
1級 | 記述中心(和訳・要約・説明) | ・高度な技術英語の理解・技術的な内容の英訳・要約・論述能力が問われる |
プロフェッショナル | 長文記述+要約+英訳 | ・日本語技術文の英訳/英語技術文の要約・専門知識と文章構成力が求められる |
共通の出題領域(全級共通で出やすいテーマ)
- 科学技術用語(例:pressure, torque, circuit など)
- 技術文書(取扱説明書、仕様書、論文抄録 など)
- 図表・グラフの読解と説明
- 論理的な説明文の構成力
試験内容の特徴
- 一般的な英語検定と異なり、「技術的な内容を英語で正確に読み・書き・要約する」力が問われます。
- 単なる語彙や文法の知識ではなく、「技術文書をどう読み解き、どう表現するか」が評価される点が特徴です。
各級の難易度とレベル感を徹底解説
3級|英検準2級〜2級相当:技術英語の入門レベル
- 対象者:理系高校生、大学1〜2年生、英語が得意な技術職志望者
- 内容:
- 基本的な技術用語の意味理解
- シンプルな英文読解と図表の読み取り
- すべて選択式(マークシート)で記述なし
- 特徴:
- 英語の基礎力+初歩的な技術用語への慣れがあれば対応可能
- 英検でいうと「準2級〜2級」レベルの英文理解力が求められる
- 合格率は60〜80%と高めで、最初のステップに最適
2級|英検2級〜準1級相当:応用的な技術英語を扱う中級レベル
- 対象者:理系の大学生、大学院生、若手技術者
- 内容:
- 複数段落の技術文書の読解
- 英文の要約や簡単な技術説明(記述あり)
- 専門分野に関する語彙力・論理的読解力も必要
- 特徴:
- 技術系の知識に加え、「自分で書いて説明する」英語力が求められる
- 英検2級~準1級にプラスして、技術的知識が必要
- 合格率は50〜70%前後で、やや対策が必要なレベル
1級|英検準1級〜1級相当+専門技術知識:上級技術者向け
- 対象者:研究職・開発職の社会人、中堅技術者、英語上級者
- 内容:
- 高度な技術文書の精読、要約、英文記述
- 技術的な資料を論理的に英語で説明する問題
- 長文記述・要約・英訳が中心
- 特徴:
- 一般的な英語力ではなく、技術+英語+論理構成力が必要
- かなりの読解・記述量があり、試験時間も長め(90分)
- 合格率は回によって変動するが、平均60〜65%ほど
プロフェッショナル
最難関。和文英訳や技術的要約の精度が厳密に評価され、実務翻訳者レベルが求められる。
技術英語能力検定の合格率
第137回(2025年1月11日実施・PBT方式)
- プロフェッショナル:受験115名・合格4名 → 3 %
- 準プロフェッショナル:受験29名 → 合格率不明(合格者25名)
- 1級:106名 → 63 %
- 2級:38名 → 53 %
- 3級:154名 → 69 %
第136回(2024年10月20日実施)
- 1級:84 %
- 2級:63 %
- 3級:83 %
第135~134回(2024年7月/1月実施)
- 1級:65 ~ 68 %
- 2級:51 ~ 71 %
- 3級:48 ~ 63 %
- 3級:50~80%と、受験層によりばらつきはあるものの、比較的合格しやすい水準です。
- 2級:おおむね50~70%と安定しており、英語+技術分野への理解があれば十分突破可能。
- 1級:回によって大きく上下(30%台〜80%台)しますが、多くは60%前後で問題文読解と要約・記述力が鍵となります。
- プロフェッショナル/準プロ:プロフェッショナルは合格率極めて低く(数%)、記述式で高度なテクニカルライティング能力が要求されます
- 入門級の3級は合格率が高く、「まず技術英語に触れてみたい」と考えている方に最適です。
- 2級はやや専門的ですが、50〜70%の合格率から見て「狙い目」のレベル。
- 1級は実務レベルの英語力があれば十分届く水準もあるものの、安定した準備が必要です。
- プロフェッショナル級は非常に難易度が高く、技術翻訳やテクニカルライティング習熟者向きです。
難易度を乗り越えるための勉強法
技術英語能力検定は、一般的な英語資格と異なり「技術的な内容を英語で理解し、説明する力」が求められる試験です。そのため、単語帳や英文法だけでは太刀打ちできない場面も多く、各級に合った効果的な勉強法と教材選びが重要になります。
ここでは、3級・2級・1級それぞれに適した対策方法と、おすすめの教材を紹介します。
3級:技術英語の入門レベルは「慣れ」と「基本語彙」がカギ
3級は、英検で言えば準2級〜2級相当の英語力が目安となる入門レベルです。
とはいえ、理系の基礎知識や技術用語が出てくるため、「英語は得意だけど技術分野は初めて」という方にとっては、慣れが必要な内容となります。
まずは基本的な技術英単語を覚え、図や表が含まれる英文に慣れることから始めましょう。過去問や模擬問題で形式に慣れるのも有効です。
おすすめの教材は、以下の通りです:


2級:応用レベルの壁を越えるには「要約力」と「文構造の把握」
2級になると、記述式の要約問題が追加され、より実務的な読解力・表現力が求められます。
出題される文章も複雑になり、段落構造の把握や要点抽出といった論理的思考力がカギとなります。
学習のポイントは、「英文を読む」だけでなく、読んだ内容を簡潔に英語でまとめる訓練です。専門用語の語彙力も同時に強化しましょう。
おすすめの教材:


1級:上級者向けには「記述力」と「論理展開の正確さ」が決め手
1級では、長文読解に加えて、和文英訳・技術的要約・自由記述といった高度な英語表現力が試されます。
英語力はもちろん、技術的な知識をどう正確に伝えるかという表現力・構成力が合否を分けます。
勉強法としては、英語の論文や仕様書を要約する練習や、和文技術資料を英文で説明する訓練が非常に効果的です。自分の専門分野の文書を教材として使うのもおすすめです。
おすすめの教材:

プロフェッショナル級を目指すなら「実務に即した練習」が必須
プロフェッショナル級は、実務レベルの技術英語力が求められる超上級試験です。
技術翻訳者や技術文書のライターを目指す人向けで、仕様書・報告書・取扱説明書などを正確に構成・記述する能力が問われます。
このレベルでは、専門のテキストに加え、実際の技術資料を使っての実戦的なトレーニングが必要です。日本語→英語への翻訳演習、文書構成の型を覚えることが重要です。
まとめ:級に応じた戦略とアウトプット重視の勉強が合格への近道
技術英語能力検定は、単なる英語試験とは違い、「技術知識」と「英語力」の融合が求められる資格です。
各級のレベルに応じて適切な教材を選び、読む・書く・要約するといったアウトプット重視の勉強法で実力を養っていきましょう。
しっかりとした対策を積めば、難易度の高い級でも十分に合格は狙えます。自分の目標やスキルレベルに合わせて、無理なくステップアップしていきましょう。
技術英語能力検定は就職や昇進に役立つ?
技術英語能力検定は、一般的な英語検定とは異なり、「理系・技術系分野に特化した英語力」を証明できる資格です。では実際に、就職活動やキャリアアップにどれほど効果があるのでしょうか?ここではその実態について解説します。
技術職・理系職種においてはアピール材料になる
メーカー、IT企業、インフラ、エネルギー、医薬品開発など、技術職を中心とした分野では一定の評価が得られる資格です。とくに、下記のような企業では強みになります。
- 海外展開しているメーカー(設計・開発・製造)
- 英語での論文読解や仕様確認が必要な研究職
- 技術文書(マニュアル・レポート)の作成が求められる職種
履歴書に記載することで、「英語も技術もわかる人材」という印象を与えることができ、他の応募者との差別化に繋がります。
一部の大学・大学院では推薦や単位認定も
工学系や理系学部のある大学では、技術英語能力検定を推薦制度や単位認定の対象として扱う例もあります。大学院進学時の自己PRや研究職志望時のアピール材料にもなります。
また、技術士・情報処理技術者試験など、他の理系資格と併せて取得しておくと、総合的なスキル評価につながる可能性もあります。
一般企業では知名度が低め。業界を選ぶ資格
一方で、一般企業(事務職・営業職など)では知名度が低く、直接的な評価には繋がりにくいのも事実です。英検やTOEICに比べると汎用性は劣るため、英語資格としての評価を狙うなら、他の資格と併用するのが現実的です。
社内昇進や技術評価の一環としての活用も
企業によっては、昇進・昇格時の評価項目や社内の英語研修制度の一環として活用しているケースもあります。特にグローバル展開を進める企業では、英語技術文書を扱える人材のニーズが高まっており、社内研修で技術英語能力検定を推奨する事例も報告されています。
まとめ
技術英語能力検定は、英語力だけでなく「技術的な内容を英語で読み書きする力」が求められる、専門性の高い検定です。
一見すると難しそうに感じるかもしれませんが、各級のレベルは段階的に分かれており、自分に合った級からスタートすれば、しっかりと合格を目指せる資格です。
- 3級は技術英語の入門編として最適で、英語と理系知識に慣れるきっかけになります。
- 2級では要約や記述も入り、実務を意識した応用力が求められます。
- 1級以上になると、実務翻訳やテクニカルライティングに近い高度な力が求められ、プロフェッショナル向けの試験となります。
就職活動や社内評価にも活かせる資格であり、特に技術職や研究職を目指す人にとっては強力な武器になります。
他の英語資格(TOEIC・英検など)と組み合わせれば、基礎力と専門力の両面からアピールできるのも魅力です。
ぜひ今回の記事を参考に、ご自身のレベルと目的に合った級から挑戦し、キャリアアップに役立ててみてください。