
英語圏への留学や、海外大学院への進学を目指すなら避けて通れない試験、それがTOEFL iBTです。アカデミックな英語運用能力を測ることを目的としたこの試験は、リーディング、リスニング、スピーキング、ライティングの4技能をバランスよく評価するため、英語力を総合的に高める必要があります。
しかし、TOEFL iBTの概要や難易度、スコアの目安については意外と知られていない部分も多いもの。
本記事では、TOEFL iBTの試験内容からスコア活用法、勉強法まで、初めて受験する方にもわかりやすく解説します。これからTOEFL iBTに挑戦したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
TOEFL iBTの概要
当サイト独自の見解です
資格種別 | 語学検定 |
---|---|
ジャンル | 英語・留学・進学 |
資格区分 | 民間資格(ETS主催) |
受験資格 | 誰でも受験可能(年齢制限なし) |
試験日程 | 通年(複数日程あり/月数回) |
試験方法 | インターネット試験(iBT形式)/自宅受験(Home Edition)あり |
免除科目 | なし |
試験場所 | 全国主要都市のテストセンターまたは自宅 |
受験料 | 約245米ドル(受験地・受験形式により変動あり) |
登録・更新 | 特になし(スコアの有効期限は2年間) |
問い合わせ先 | ETS公式サイト(https://www.ets.org/toefl)またはTOEFL日本事務局 |
TOEFL iBTとは?
TOEFL iBT(Test of English as a Foreign Language Internet-Based Test)は、英語を母語としない人が、英語圏の大学や大学院で授業を受けるために必要なアカデミック英語力を測定する試験です。
リーディング・リスニング・スピーキング・ライティングの4技能すべてを評価し、実際の講義やディスカッション、レポート作成などに必要な英語力を総合的に判定します。
テストの目的(アカデミック英語力を測る)
TOEFL iBTは、単なる日常会話力ではなく、大学の授業を理解し、論理的に考え、発表できる英語力があるかを確認するために設計されています。
そのため、試験内容も「講義の要点を整理する」「学術論文を要約・比較する」といった、実践的かつ高度なアカデミックタスクが中心です。英語圏の高等教育機関で成功するための基礎力を証明する手段として、世界中で利用されています。
主な受験者(留学希望者、海外大学院進学者)
TOEFL iBTの主な受験者層は、海外の大学・大学院への留学を目指す学生です。
特にアメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリアなどの英語圏の大学では、出願時にTOEFLスコアの提出が求められることが一般的です。また、近年ではMBAや専門職大学院(ロースクール、メディカルスクール等)志望者にも広く受験されています。
その他、英語力を国際的に証明したい社会人や、外資系企業への就職活動の一環としてスコアを取得するケースも増えています。
日本での受験状況
日本でもTOEFL iBTは広く実施されており、全国の主要都市に専用テストセンターが設置されています。
受験希望者は、公式サイト(ETS)からオンラインで申し込み、空き状況に応じて希望日時・会場を選択する形です。また、自宅で受験できる「TOEFL iBT Home Edition」も導入され、地方在住者や忙しい社会人でも受験しやすい環境が整っています。
ただし、日本ではTOEICの方が一般的なため、TOEFL受験者は留学志望者が中心で、全体の受験者数としては比較的限られています。
TOEFL iBTの試験形式と出題内容
TOEFL iBTは、インターネットを通じて実施される試験で、リーディング・リスニング・スピーキング・ライティングの4技能すべてを測定します。
各セクションは、英語圏の大学で求められる学術的な場面を想定して設計されており、実践的な英語力が問われます。
リーディング(Reading)
- 内容:大学レベルのアカデミックな英文(講義内容、教科書の抜粋、専門的な説明など)を読んで理解する力を測る。
- 問題数・時間:約20問、約35分間。
- ポイント:語彙力だけでなく、文章構成や主張の把握、要約能力も求められる。
リスニング(Listening)
- 内容:講義、ディスカッション、キャンパス内での会話などを聞き、内容を理解・整理する力を測る。
- 問題数・時間:28問、約36分間。
- ポイント:メモを取りながら要点をつかむ力、話者の意図や感情を読み取る力が重要。
スピーキング(Speaking)
- 内容:自分の意見を述べる問題や、講義や会話を聞いた上での要約・意見表明など、実践的なスピーキング能力を評価。
- 問題数・時間:4タスク、約16分間。
- ポイント:発音・流暢さ・内容の一貫性が重視される。メモを見ながら答えることも可能。
ライティング(Writing)
- 内容:短い講義と読解内容をもとにエッセイを書く統合型タスクと、自分の意見を論じる独立型タスクの2種類。
- 問題数・時間:2タスク、約29分間。
- ポイント:文章構成(序論・本論・結論)がしっかりしているか、論理的な展開ができているかが評価される。
全体の試験時間と構成まとめ
- 総試験時間:約2時間
- 休憩:通常、セクション間に短い休憩あり
- 受験方法:テストセンターまたはHome Edition(自宅受験)
TOEFL iBTのスコアについて
TOEFL iBTは、各セクションごとにスコアが算出され、それらを合計した総合スコア(0~120点)で評価されます。単なる正答数だけではなく、回答内容の質やタスク達成度も加味してスコアが決まるのが特徴です。
TOEFL iBTは、各セクションごとにスコアが算出され、それらを合計した**総合スコア(0~120点)**で評価されます。単なる正答数だけではなく、回答内容の質やタスク達成度も加味してスコアが決まるのが特徴です。
各セクションのスコア配分
- リーディング:0〜30点
- リスニング:0〜30点
- スピーキング:0〜30点
- ライティング:0〜30点
各セクション30点満点 × 4技能 = 総合120点満点
それぞれ独立して採点されるため、得意・不得意のセクションによってバランスを取ることも戦略の一つです。
目標スコア設定例
志望校や目的によって求められるスコアは異なります。以下は目安です。
目的 | 目標スコア目安 |
---|---|
海外学部留学(アメリカ大学) | 80〜90点 |
海外大学院留学(アメリカ) | 90〜100点以上 |
上位校・トップスクール | 100〜110点以上 |
海外MBAプログラム | 100点以上推奨 |
英語力証明(国内企業向け) | 80点前後 |
※ただし、大学ごと・プログラムごとに「セクションごとの最低点数」も設定されている場合があるため、必ず志望校の公式サイトで確認しましょう。
スコアの有効期限
- 有効期限は2年間
- 出願時点でスコアの有効期限が切れていると、受け付けてもらえないため注意が必要です。
TOEFL iBTの難易度は?
TOEFL iBTは、一般的な英語試験と比べても非常に高いレベルのアカデミック英語力が求められる試験です。
日常会話程度の英語では太刀打ちできず、大学の授業・講義・論文レベルの理解と表現ができるかが問われます。
- Listening・Reading(理解力):かなり難しい(大学レベルの語彙・内容理解)
- Speaking・Writing(アウトプット):さらに難しい(論理的な構成・即興での表現力が必要)
- 特に、英語を英語のまま理解・処理する「英語脳」ができていないと高得点は難しいです。
特に難しいポイント
- アカデミック語彙・内容の多さ
一般英会話では使わない、大学講義レベルの専門語(生物、心理学、経済など)が頻出。
例)ecosystem(生態系)、hypothesis(仮説)、photosynthesis(光合成)など。 - 文章・音声の長さと複雑さ
リーディングもリスニングも、長文・長時間集中力を維持する力が問われる。
途中で疲れてしまうと正答率が急激に下がるため、体力的な訓練も必要。 - スピーキングの即興性
与えられる準備時間はたった15秒〜30秒。
限られた時間内で、わかりやすい論理構成(序論→理由→具体例→結論)を即座に組み立てる力が求められる。 - ライティングの論理構成力
独立型タスクでは「自分の意見を論理的に主張する力」、統合型タスクでは「複数情報をまとめて論じる力」が必要。
ただ英語が書けるだけではなく、論理の一貫性・説得力が厳しくチェックされる。
他試験との難易度比較イメージ
試験名 | 難易度比較(イメージ) |
---|---|
TOEIC(L&R)800点 | TOEFL iBT 70〜75点程度のレベル感 |
英検2級 | TOEFL iBT 60〜65点程度 |
英検準1級 | TOEFL iBT 80〜90点程度 |
IELTS 6.0〜6.5 | TOEFL iBT 80〜90点程度 |
- TOEICで高得点を取れていても、TOEFL iBTでは思ったよりスコアが伸びないことがよくあります
(アカデミック英語とビジネス英語の違い)。 - 英検準1級以上の力があれば、TOEFL iBT80点以上を狙いやすくなります。
難易度を乗り越えるためのコツ
- アカデミック英単語(AWL:Academic Word List)を重点的に覚える
- 長文・長時間リスニングへの「耐性」をつける
- スピーキング・ライティングでは「型(テンプレート)」を覚えて即興対応力を鍛える
TOEFL iBTのスコア活用シーン
TOEFL iBTのスコアは、主に海外の大学・大学院進学を目指す際に必須とされますが、それ以外にも就職活動やキャリアアップにも活かすことが可能です。
具体的に、どのような場面でTOEFLスコアが求められるのかを見ていきましょう。
海外大学・大学院出願
TOEFL iBT最大の活用シーンは、やはり海外の大学・大学院への出願です。
特にアメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリアなど英語圏の高等教育機関では、出願書類にTOEFLスコアの提出が義務付けられていることが一般的です。
- 学部留学:一般的に80点以上が求められることが多い
- 大学院留学:90〜100点以上が求められる難関校も多数
- MBAや専門職大学院(ロースクールなど):100点以上が目安になることが多い
また、近年では英語圏以外の国(ヨーロッパ、アジア圏)の大学でも、英語プログラムへの出願にTOEFLスコアが要求されることがあります。
海外インターン・海外就職
グローバル企業のインターンシッププログラムや、海外拠点での就職活動でも、英語力の証明としてTOEFLスコアを提出するケースが増えています。
特に、「現地大学での就学経験がない場合」、TOEFLスコアでアカデミック英語力を示すことが有効です。
- 外資系企業のインターン応募
- 海外企業の採用試験
- 国際機関(例:国連系)のインターン応募
TOEFLのスコア提出が推奨または必須となっている場合もあります。
日本国内でのキャリア活用
日本国内でも、英語力を重視する企業(外資系・大手メーカーのグローバル部門など)では、TOEICに加え、TOEFLスコアを自己PR材料として提出する例が増えています。
特に「英語圏の高等教育課程で学べるレベルの英語力がある」という証明になるため、TOEICスコアよりも実践的・本格的な英語力をアピールできるのが強みです。
- グローバル採用枠の応募
- 海外出張・海外赴任ポジションへの異動希望
- 昇進・昇格要件(語学要件)のクリア
TOEFL iBT勉強法・おすすめ教材
TOEFL iBTは試験範囲が広く、効率的な勉強戦略が必要です。
ここでは、レベル別に勉強法を整理し、それぞれに適したおすすめ教材も紹介します。
初心者向け:基礎英語力強化
- まずは基礎文法・単語力の底上げが最優先
- リーディングやリスニングも、中学〜高校レベルの英文から段階的に慣れる
- 英単語は日常会話レベルを超えて、アカデミック単語も覚え始める
TOEFLテスト英単語3800

TOEFL頻出単語をレベル別に学べる定番書。
中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。

文法に不安がある人は、このあたりから。
中級者向け:実践問題演習
- TOEFL形式に特化した問題集に取り組む
- 各セクション(特にSpeakingとWriting)は、型(テンプレート)を覚えて慣れる
- 本番形式の模試で、時間感覚・集中力を鍛える
Official TOEFL iBT Tests

本番そっくりの問題に触れられる唯一の公式教材。

中〜上級者向けの演習書。演習量が豊富で解説も丁寧。
上級者向け:模試・本番形式対策
- 実際の試験時間と同じ長さで模試を繰り返す
- スピーキング・ライティングでは「内容の質」を上げる(例:例え話、比較対象を盛り込む)
- 本番を想定して、ミス防止策(時間配分ミス、メンタル管理)も徹底する
Complete Guide to the TOEFL Test iBT Edition

総合力仕上げ用。各セクション別に詳細な解説つき。
TOEFL iBTは就職や進学に有利?
TOEFL iBTは、世界中で認知されている英語資格のひとつです。
そのため、進学はもちろん、就職活動やキャリアアップの場でも、非常に有利に働くケースがあります。
海外大学・大学院進学には必須レベル
- 進学に関しては、TOEFLスコアが「必須条件」になる場合が多いです。
- アメリカ・カナダ・イギリス・オーストラリアなど、英語圏の大学では、出願時にTOEFLスコアの提出が求められます。
- 大学学部留学では80点以上、大学院・MBA留学では90〜100点以上が一般的なボーダー。
- IELTSとの併願可な学校も増えていますが、TOEFLの方がアメリカ志向の学校では標準的な指標です。
- スコアが高いほど、出願できる大学・奨学金の選択肢が広がるメリットもあります。
就職・キャリアアップにも効果的
- 日本国内でも、TOEFLスコアは国際部門や海外プロジェクトの選考で高評価されることがあります。
- 特に、外資系企業や商社、グローバル企業(大手メーカー、IT企業など)では、TOEFLで証明された「アカデミックな英語運用力」が評価されます。
- TOEICとは異なり、「単なるビジネス英語」ではなく高度な読解・論理的思考力・発信力があることをアピールできるため、専門職志望者(研究職、コンサルタント、海外渉外担当)にも有効です。
TOEFLスコアが活きる具体的な場面
シーン | 活かし方 |
---|---|
海外大学・大学院出願 | 出願資格、奨学金申請要件 |
外資系企業への就職 | 英語力のアピールポイント |
国内大手企業グローバル部門配属 | 海外プロジェクト担当、海外赴任候補 |
官公庁・国際機関の選考 | 英語力証明の一環として提出 |
の難易度に関するよくある質問(FAQ)
TOEFL iBTは、単なる英語試験を超えた「国際舞台で活躍するための基礎力」を証明する資格です。
海外留学を目指す学生にとっては必須の試験であり、グローバルキャリアを志す社会人にとっても大きなアドバンテージとなります。
試験の難易度は高いものの、計画的に対策を進めれば着実にスコアアップが可能です。
まずは目標スコアを明確に設定し、自分に合った学習方法で挑戦をスタートさせましょう!
まとめ
TOEFL iBTは、英語圏の大学や大学院への進学において、世界中で広く認知されている信頼性の高い試験です。
単なる英会話力ではなく、アカデミックな場で必要とされる「読む・聞く・話す・書く」の4技能を総合的に測定できる点が大きな特徴です。
進学だけでなく、グローバル企業への就職やキャリアアップを目指す際にも、TOEFLスコアは強力なアピール材料になります。
試験の難易度は高めですが、明確な目標スコアを設定し、計画的に対策を進めることで、着実に突破は可能です。
留学・海外進出を視野に入れている方は、TOEFL iBTに挑戦することで、未来への大きな一歩を踏み出せるでしょう。